『塩狩峠』[ 桜の下 ]188 やっと校庭にたどりつ……

やっと校庭にたどりついたころは、さいわい雨が小降りになっていた。暗い校庭はしんとしずまりかえって、何の音もしない。だれかきているかと耳をすましたが話し声はなかった。ほんとうにどこからか女のすすり泣く声がきこえてくるような、無気味なしずけさだった。集合場所である桜の木の下に近づくと、


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